興味深い記事を読んだ。World Economic Forumから。原題は

3 reasons why social enterprises fail – and what we can learn from them

日本語に訳すと「Social enterpriseがなぜ失敗するのか。3つの主な理由とそこからの学び。」

<以下記事要約>

  • Social Enterpriseが破たんすると、社会のギャップを埋めるために機能しているものがなくなってしまうため社会へのインパクトが一般の企業やスタートアップに比較しても大きくなる可能性がある。
  • 実際に失敗をしたSocial Enterpriseは、上記のような状況に陥り、自分たちの失敗の理由などについて詳細に語られることはあまりない。
  • 今回の調査はメキシコの115のProfit Social Enterprise(日本語にするといわゆる社会起業?事業収入をベースに社会問題を解決する機関)を対象にした調査。
  • 調査の結果、20人以上の従業員を雇用しているEnterpriseは5.2%、また10年以上続いてきたEnterpriseも全体の5.2%とのこと。
  • 調査の中で浮かび上がってきた3つの大きな失敗の要因は、①Fundの不足、またはFundを集めてくるスキルの不足②外部環境である政策の変更などに対応できない③理事/取締役会:概ね創業メンバーが務めるため、責任の曖昧さ(暗黙知になること)、創業メンバーのコミットメント不足、メンバー間の個人のConflictなどが問題となる。

<感想>

PLASはProfit Social Enterpriseでないものの、社会的な課題を解決するNGOとして、この記事で取り上げられたSocial Enterpriseと共通する部分が多い組織である。企業もそこまで変わらないと思うが、やはり生存率が低い中で10年以上も活動を続けられていることは本当に幸運としか言えない。多くの方々がPLASに共感してくれてここまで来たことは間違いない。

一方でこの「失敗した」Social Enterpriseの中には内部で「現状のやり方では社会的な課題解決にならない」と考え、事業を止めたEnterpriseもあると思う。詳細はこの記事からではわからないが、これも英断と呼ばれるべきものもそれなりの数があると思う。NGOやNPOをやっていると、自分の事業が本当に社会のニーズにマッチしているのかというのが営利企業に比べて見えにくく、見失いやすい。常に客観的に自分たちの事業を見つめ、本当に社会が必要としているものを届けられているのか、自分たちの中で対話を繰り返さなければいけないことがある。企業には利益という内部にも外部にも見える明白な指標があるので、事業を止めるタイミングは内外でのコンセンサスはある程度取りやすいが、Social Enterpriseにとってはなかなか難しい。目の前の事業の継続にいっぱいになってしまい気づいた時には社会のニーズと全く外れた活動をしていたという状況に陥ることもあるはず。こういった中で、「英断」を下して事業を止めたSocial Enterpriseがあったとしたらそれは称賛されるべきだと思う。

今回の記事で個人的に胸に刺さるのは、失敗に陥る原因の1つとして理事会・取締役会が挙げられていることである。特に創業メンバーで構成される理事会にはリスクが潜んでいるという指摘がなされている。私自身もPLASの中では純粋な創業期にはいなかったが、創設から半年遅れてもう10年以上活動を続けているので「創業メンバーの理事」に入ると思う。仕事とかけもちしながらの理事としての業務を遂行するのは周りのサポートなしにはできないが、そこに甘えると記事にある通り責任の曖昧さとコミットメントの低下が生まれてくる。幸運にも今までそれが原因で団体の活動の存続の危機までに至ったことはないが、思い当たる節は今まででもいくつかはある。自分で選んだ道なのだから、強い意志をもってこれからも続けないといけないとこの記事は自分への戒めとなった。

また確かに創業期のメンバーだけで理事会を構成し、中長期的な団体の意思決定がその中で行われると決定の経緯等や根底にある考え方などが暗黙知になりやすい。PLASでもそのようなリスクを回避しさらなる団体の成長を促すために、昨年末、外部から新しい理事を招聘した。新理事就任のお知らせ(PLAS HP)この決定がよかったかどうか、今年度特に試されている。暗黙知を見える化する作業はもちろんマニュアルや諸規定などのドキュメントでカバーできる部分もあると思うがそれだけでは不十分で、古臭いかもしれないがやはり対話が必要だと思う。何度も何度も事あるごとに対話を続け、暗黙知を見える化し「企業文化、組織文化」というレベルまで醸成させていく、これは創業メンバーが担うべき重要な役割であるはず。物理的な距離が今はあるが、自分も意識してやっていきたい。