3年ほど前に残していた読書メモですが、ヨハンクライフが亡くなったので引っ張り出して再度読んだFootball Odyssey。

1974年W杯決勝戦の西ドイツ-オランダの戦いで鍵となった人物を小説仕立てに描いた作品。ヨハンクライフ、ベッケンバウアー、ゲルトミューラーなどサッカーファンでなくても知っている往年の名選手の人間性を垣間みることができる。

1974年というのは40年前で遠く昔のようだが、この年に生まれた選手が三浦淳宏ということを考慮するとサッカー史の中で「古典」と位置づけるのはまだ早い。

この時代は、大陸を超え、世界全体を1つの市場として、クラブ間で選手の獲得をめぐりビッグマネーが動く現代プロサッカーの萌芽を感じ取れる時代である。作品の中でもネッツアーという西ドイツの選手がレアルマドリッドの移籍を決意するシーンが描かれている。当時は代表選手になるためには連絡やコミュニケーションの問題で国内のリーグに所属していなければならないという暗黙の掟というか慣習があったらしい。つまり国外に出てしまえばそれは代表引退という意味になる。このような流動性のない環境の中で当時(もしくは以前)の選手のメンタリティは現在の「フリーランス」や「プロフェッショナル」とは違い、所属するクラブの被雇用者という意識が強かったことがわかる。最終的にネッツアーはマドリッドへの移籍を決意し、同時期にヨハンクライフはバルセロナへの移籍を決める。このような流れの延長線上に現在の世界規模での自由競争、選手のプロフェッショナル化へと転換へと向かっていたのだ。

現在世界の主要リーグで活躍する日本人選手の存在がこの歴史の最先端にいるいうことは非常に感慨深い。スポーツや芸術は歴史を表すというが、グローバル化による市場の流動化という外的な要因が手伝い今日の日本人選手の世界進出を後押ししていることも忘れてはならない。(日本のサッカーのレベルがあがったということもあるが)

著者は西部謙司。

早稲田卒で商社に3年間勤務した後、フリーのライターに。なんか  sympathyを感じてしまう経歴である。

http://rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?t=nobuhico138-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4575298859&ref=qf_sp_asin_til&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr