トップレフト ~ウォール街の鷲を撃て~
「商社や投資銀行のプロジェクトに関してロマン溢れるストーリーを通して学びたい若手社会人、就職活動生向け」

日系自動車会社のトルコ支店のイランでの新工場建設のための融資案件をめぐって、邦銀の今西と邦銀時代の同期で外資系投資銀行に勤める龍花の戦いを中心に国際金融という世界で働く人や金融機関のあり方を描いた小説。
著書は、登場人物の2人、邦銀で働く今西と米国系投資銀行で働く龍花を通して、両組織とそこで働く人々を対照的に描写する。
邦銀は組織内での政治をうまくつかみ、出世を目指すという人間モデルで組織としては内側を向き衰退の道を進む。米国の投資銀行は一つでも多くのディールに携わり自分のトラックレコードを残して莫大な報酬を得ようとする野心を持った人々で構成され、常に世界の金融を引っ張って行く存在として描かれる。
2つの対照的な組織の中で奮闘する龍花と今西の息詰まる攻防戦がこの作品の魅力であるが、一番印象的だったのは作品の後半の一幕。外国人の外資金融バンカーがジリ貧でリスクの取れない邦銀を見ながら「それでも日本が世界経済の中でここまで存在感を保っているのはなぜなんだ、誰が投資銀行の役割を担っているのか」と疑問を呈する場面がある。
この答えは、、ネタバレになるので言わないが、私にとっては非常に勇気の湧く一幕となっている。

魅力的な登場人物に引き込まれながら、国際金融特にプロジェクトファイナンスの基礎的な知識を習得できる若手社会人で机で重い参考書を読むのはちょっとという人にはおすすめ。